クラフトジンの製造方法

ジンは、ベースとなるスピリッツに「ボタニカル」と呼ばれる草根木皮の香りを加えて造られます。一般的なジンの製造では、主にジュニパーベリーという針葉樹の実をメインの香りとしますが、クラフトジンではこのジュニパーベリーに加えて、さまざまな独自のボタニカルが使われるのが一般的です。

ボタニカルの香りを蒸留する方法はさまざまありますが、主に浸漬法（スティーピング方式）と蒸気抽出法（水蒸気蒸留法）という方法で蒸留されています。浸漬法は、ボタニカルをアルコールに一定時間漬け込み、香りを抽出してから蒸留する方法です。

一方、蒸気抽出法は、蒸留の過程で発生したアルコール蒸気がボタニカルの層を通過する際に、その香りを吸着する方法です。多くのクラフトジンは、これらの方法で奥深い香りを生み出しています。

国産クラフトジンが使用する個性豊かなボタニカル

国産クラフトジンには、日本の風土で育まれたユニークなボタニカルが使用されます。これらのボタニカルは、ジュニパーベリーの香りを引き立てるだけでなく、ジンそのものに独特の風味や香りを付与します。

その結果、洋酒でありながらも、日本らしさを感じられる、繊細で奥深い味わいのジンが生まれるのです。それぞれのボタニカルが持つ個性を生かすことで、造り手は世界に一つしかないオリジナルのジンを創り出しています。

キハダ（Phellodendron amurense）

キハダはミカン科の落葉広葉樹であり、その果実には爽やかなミカンの香りが含まれています。ジンに使用することで、柑橘系のフレッシュな香りと、独特の苦みがアクセントとなり、味わいに深みを与えます。

ヤマブドウ（Vitis coignetiae）

日本各地に自生するヤマブドウは、ブドウ科のつる性木本です。その果実は豊かな風味と酸味を持っており、ジンに加えることで、フルーティーで奥行きのある香りと、ほのかな渋みが感じられる味わいを生み出します。

ノラニンジン（Daucus carota）

ノラニンジンはセリ科の多年草で、栽培種のニンジンの原種とされています。特にその種子はキャラウェイシードのような香りを持ち、ジンにスパイシーで温かみのある香りを加えます。また、全草が食用となるため、さまざまな部分をボタニカルとして活用することが可能です。

ハマナス（Rosa rugosa）

ハマナスはバラ科の低木で、海岸の砂地に自生します。香水にも使われるほどの強い芳香を持つ花と、ジャムなどに使われる実がボタニカルとして活用されます。ジンに華やかでフローラルな香りをもたらし、エレガントな風味に仕上げます。

イワヨモギ（Artemisia sacrorum）

イワヨモギはキク科の多年草で、海岸や岩場に生える植物です。強い芳香を持つ葉が特徴であり、ジンに使用するとハーブ由来の爽やかで清涼感のある香り、そしてわずかな苦みが加わり、味わいを引き締めます。

初心者でも楽しめる基本的な飲み方

ジンの飲み方には、ストレート、ロック、水割り、ソーダ割りなどさまざまな方法があります。ストレートやロックは、ジンの持つ香りを純粋に楽しむことができます。特に、ボタニカルの香りをしっかりと感じたいときにおすすめです。一方、ソーダ割りは、ジンの香りを引き立てつつ、すっきりと爽やかな味わいになるため、食中酒としても適しています。

カクテルで広がるジンの楽しみ方

ジンはカクテルのベースとしても非常に優秀です。初心者の方でも手軽に挑戦できるカクテルとして、ジン・トニック、ジン・フィズ、マティーニなどがあります。

ジン・トニックは、ジンをトニックウォーターで割るだけで完成するシンプルながらも奥深いカクテルです。トニックウォーターの種類によっても味わいが変化するため、自分好みの組み合わせを見つける楽しみがあります。

また、ジン・フィズは、ジンにレモンジュース、砂糖、ソーダ水を加えて作る爽やかなカクテルで、食前や気分をリフレッシュしたいときにおすすめです。

食事とのペアリングで奥深い味わいを堪能

繊細で個性的な香りの国産クラフトジンは、和食との相性が良いとされています。例えば、柑橘系の香りが特徴のジンは、白身魚の刺身や寿司と合わせることで、互いの風味を引き立て合います。また、スパイシーな香りのジンは、天ぷらや唐揚げなど、少し油分のある料理と合わせると、口の中をすっきりとさせてくれます。